ムスリム女性は、メイクからヘア、ネイル、そして美容整形にまで及ぶ広範囲な美の作法のことで有名。祈りの最中にネイルポリッシュをつけていることは、イスラム非合法であり禁止されている。しかしいま、新しいタイプのネイルポリッシュ「INGLOT O2M nail enamel(イングロットO2 ネイルエナメル)」が「イスラム合法」として認定され、イスラム法を順守する女性たちももっと気軽にネイルアートを楽しむことが可能になったようだ。
ポーランドの科学者・Wojciech Inglot氏が開発したネイルポリッシュ「INGLOT O2M nail enamel(イングロットO2 ネイルエナメル)」は、水分も酸素も透過するネイルポリッシュ。もともとは、空気と水分を通すネイルポリッシュで、ヘルシーな爪をキープしながらネイルを楽しめるようにしようというもので、コンタクトレンズの透過性に着想を得て開発が始まったという。本当に水分を通すかどうか……実験の様子も公開されている。
これまで多くのムスリム女性にとって、ネイルはなかなか手が出せないものだったという。それは1日5回のお祈り前に、手顔足を清める儀式「ウードゥ」があるからだ。ネイルポリッシュの皮膜が水を通さないため、お清めの水が自爪の表面に届かずウードゥが完全なものでなくなる、というのがその主な理由。しかしアメリカにあるイスラム学術院がその透過性を試験し「ムスリム法に照らしあわせて合法である(ハラール)」と見解を発表したとたん、インターネットで口コミが流れ、売上が急上昇したという。
Eluxe Magazine編集部員が実際に複数の色を試してみたところ、ベースコートとトップコートなしでも5日間は色が欠けなかったそう。長いものでは10日間は欠けなかったとレポートしている。ムスリムである同編集部員も「これで『ウードゥ』も大丈夫!」と喜びとともに報告している。
ただし、重ね塗りした場合はどうか? など、不明な点も残されている。一般的にネイルポリッシュは、少なくともベースコートやトップコートを重ねて塗ることが多い。
「英・Mail Online」によれば、さらに残念なのは、その発表に備えているさなか、開発者であるWojciech Inglot氏が急逝。同氏は、「真にハラールなネイルポリッシュシリーズだと証明できる」という手応えを感じていたようで、残されたラボメンバーでその意志を受け継いでいきたいと話しているようだ。
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