メキシコは色の溢れる国。道々に咲く花。はためく虹色のペーパーフラッグ。クレヨンで塗りつぶしたかのような色づかいの建築物。そして降り注ぐ太陽。
シルクアクセサリーブランド「Pineda Covalín」は、この万華鏡のようなメキシコの色彩をシルクに起こす。Cristina PinedaとRicardo Covalínの2人が、1995年に立ちあげたブランドだ。スペイン人による征服以前のデザインが、ピュアなシルクに現代風に落とし込まれ、当人たちが「メキシコのエルメス」と呼ぶのも、あながち自画自賛とは言えない。そんな「Pineda Covalín」の2人に、「Eluxe Magazine」がインタビューを行った。
―― アステカ文明、マヤ文明のカルチャーからどんな影響を受けていますか?
僕らのデザインは全て、メキシコのイコノグラフィー、すなわち絵画・彫刻等の美術表現の表す意味やその由来など[*wikipedia]について語っているものだ。スペイン人の征服前であれ、植民地時代、独立後のいずれの時代のものも含めて。あと、ラテン・アメリカの自然、行事、コンテンポラリーアートからもインスピレーションを得ています。
―― コレクションの色づかいはどのようにして決めているのですか?
メキシコの持つ、あらゆる色を組み合わせる魔法のような色づかいにはいつも驚かされる。僕らのアイテムは、どれもこの感動を伝えるために選んでいるものなんだ。僕らはメキシコの魅力を伝える大使でありたいですね。
―― 環境や社会にはどのように配慮していますか?
癌を罹患した子どもたちを支援する「Casa de la Amistad」、世界中の恵まれない子どもたちを支援する「World Vision」、そして「Discovering Latin America」という、少数民族の文化やアートを発信することで彼らの生活を支える活動をしている団体と協働しています。
―― 「Pineda Covalín」のスカーフは、美術館などでも多く展示されています。ファッションとアートの間を行き来することについてはどのように考えていますか?
とても重要だと思っています。僕らはメキシコの文化、色づかい、民族衣装などからインスピレーションを得ています。スカーフのデザインはそれぞれ、見る人着る人をメキシコへと誘うものになっています。民俗をアートに昇華させていきたいのです。
―― 最もお気に入りのデザインのスカーフはありますか?
一つを選ぶことはとても難しいですね。どれもこれも貴重なメキシカンカルチャーへのオマージュで、一つひとつに思い入れがあります。嬉しいのは、クライアントの方にその魅力が伝わったとき。僕らのスカーフがその方の大切な思い出の一部を飾れたときが、最も喜びを感じる瞬間です。