アイルランド発のファストファッションストア「Primark(プライマーク)」のアイテムに、生産者の劣悪な労働環境を想起させる刺繍のメッセージが縫い付けられているという報道が、先週から話題になっている。
今回の騒動に対し同社は、「これはいたずらだ」と報告したと、イギリスのタブロイド紙・Daily Mailのオンライン版が報じている。
先週、別々に購入された2着のワンピースに、「FORCED TO WORK, EXHAUSTING HOURS(無理やり働かされている。それも信じられない時間)」「”DEGRADING” SWEATSHOP CONDITIONS(みじめな環境の工場)」と、それぞれ刺繍されたタグが縫い付けられていたことが見つかった。
タグが刺繍された2つのアイテムはいずれも「Primark」のスワンシー店で購入されたものだが、購入した2人の女性は、互いのことを知らないという。
また別の消費者からも、数年前に購入したクロップドパンツから「SOS!」と書かれたメモとIDカードが見つかったという報告があり、先週から話題となっている。
この騒動を受け、「Primark」が同件の調査進捗を発表したと、6月28日のDaily Mail・オンライン版で報じられている。
同紙によると、「Primark」のスポークスマンは「これはいたずらだ」と、結論づけているという。
「Primark」は、サプライチェーンに関わる労働者が、権利を保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを最重要視していることは疑いのない事実であるとし、同社の厳しい行動規範に基づき、同社が納得した労働環境を持つサプライヤーとのみ取引をしていると強調。そのうえで、今回のラベルはイギリス国外で仕組まれたいたずらだと結論づけているという。
その理由の主なものとしては、「ラベルは明らかに取り付け元を同じくするものだが、それぞれのワンピースは全く別のサプライヤーで製造されたものだ。1つはルーマニア、もう1つはインドだった」とのこと。「いずれのワンピースも2013年にスワンシー店で販売されたもので、タグが縫い付けられたアイテムが同じ店から見つかったのは、全く偶然だと考えられる」とも。
「SOS!」のメモとIDカードが入ったクロップドパンツについては、イギリス国内および中国で引き続き調査をするという。
ファストファッション製造にかかる労働環境が劣悪であることは、これまでも同社に限らず報じられているが、「Primark」は厳しい倫理基準を順守していることを強調したかたちとなった。
しかし、タグを見つけた2人の女性は、ともに「いままで服がどうやって作られているのか考えたこともなかった」「タグがどうやって縫い付けられたのかは分からないけれど、考えさせられた」などと心境を話しているという。
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