アーティスト兼デザイナーのAnna Zaboevaは、生地を作ることがどれほどたいへんなことか、よく知っている。植物や蚕がいかにして糸になり、染められ織られ、やっと生地ができる。彼女は、人が膨大な時間も労力も費やして生まれたそれらを安易に捨てるのは罪だとすら考えている。
Zaboevaが設立したのは「PleaseMachine」というシューズブランドだ。タペストリーやシルクスカーフ、ヴィンテージの衣服に、ユーズドのレザー。あらゆるファブリックをリサイクルしている。チャリティショップにヴィンテージショップ、ときにゴミの山や友人たちのいらない服から見つけ出した生地。どんな生地も、時間と労力を掛けて作りだされたものであり、彼女にとって宝物だ。
「見つけた服は靴の材料になる。テキスタイルが持つ美しさを際立たせて、このすばらしい仕事をした人々ーーテキスタイルデザイナーから染めや織りの職人さんたちーーに、敬意を払いたい」。
全てがリサイクル素材でできたシューズもあれば、その他にもリサイクルレザーを用いるなどし、ヴィーガン(※動物性原料を一切使用していないこと)のコンセプトに基づいて作られたものもあるとも話している。
生地とできあがった靴、それぞれの写真を撮って「ビフォー・アフター」を楽しむのも好きだという。以前の所有者には見落とされてしまったものの、捨てられたものたちが本来持っている魅力の証拠写真となっている。それらをギャラリーに個展として展示することもある。Anna Zaboevaは、美しい生地の魅力を、新たなかたちで最大限に引き出している。
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