ロサンゼルスのイマドキクールなスタイルが、西アフリカ・ガーナの伝統とマリアージュしたらどうなるか？ ーーその答えを知るには「Della」をチェックすると良い。「Della」は、L.A.に拠点を置くファッションブランドで、人々のファッションの買い方を変えるに違いない。オーナーであるTina Tangalakisは、直接西アフリカの生産者グループと取引をし、雇用を創出するだけでなく、教育や職業訓練の機会をスタッフに提供している。
L.A.生まれのTina Tangalakisは、California Institute of the Artsでコスチュームデザインを学んだ後、映画やテレビのスタイリストとして働いていた。しかし、何か生活を変えたくて、ガーナにボランティアに行くことにしたという。
滞在中、彼女は現地の人々の優しさと親切さはもちろん、底抜けに明るいカラーリングのガーナのトラディショナルなテキスタイルに特に感動したという。同時に、そこで見た貧困の現実にもショックを受けた彼女は、何かしたいと考えた。そこで彼女がたどり着いたのは、チャリティではなく、実際に自らブランドを作って行動を起こすという選択だった。
「Della」は、ガーナ東部にある中都市・ホホエで、男女に教育と職業訓練の機会を提供し、雇用も創出する社会的意義のあるブランドだ。根幹となった考え方としては、十分な賃金を支払う長期的な雇用を提供することで、より良い生活を歩むための基盤を作り出すことだ。
ただし、その環境を現地に整え、スタッフをトレーニングするのは、ブランド設立のためには、まだ道半ばに過ぎない。どんな服を作るべきか？ ガーナの伝統的なテキスタイルが持つ魅力をいかに引き出せば、西洋の人々の目に新鮮に映るだろうか？ という課題があった。そこで最終的に辿り着いたデザインコンセプトについて、Tinaは次のように説明する。
私が最も影響を受けているスタイルは、クラシックなヴィンテージスタイル。もともとファッションの歴史に惹かれてファッションの世界に入ったし、社会の潮流がいかに服に影響を与えるかというのも魅力の一部なの。私の大好きなクラシカルスタイルを、モダンに仕上げる中で、うまくガーナのテキスタイルを組み込めるように工夫しているわ。
つまり「Della」では、ガーナならではのカラーリングを主に取り入れ、より独自性の強い柄はハンドバッグやシューズなどにアクセントとして取り入れるという決断をした。その判断はいまのところ正解だったようで、シューズブランド「VANS」とコラボレーションして、ガーナのデザインエッセンスを取り入れたスケーターシューズを企画・販売している。また、アメリカのハイストリート系ブランド「Urban Outfitters」とも、カプセルコレクションを生み出した。ガーナ人スタッフたちは、これらコレクションを作ることで、職以上の利益を受け取ることに成功している。会計や読み書きの授業のほか、子どものケア、健康へのケア……さらにはスタッフによるバレーボールチームだって生まれた。
「Della」は、ただアフリカンスタイルをモダンに仕上げてアメリカに持ち込んでいるのではない。作り手であるガーナの人々に、そのテキスタイル同様底抜けに明るい笑顔を生み出しているのだ。
