2012年に公開された映画「Samsara(サムサラ)」は、アジア・ヨーロッパ・アメリカ・アフリカ、世界25カ国をまたぎ、5年以上の年月をかけて制作されたドキュメンタリー。
この映画は、世界の絶景はもちろん、世界中の人々の暮らし、産業、文化などを多角的にを捉えたもの。70mmフィルムで撮影されており、カメラワークがとにかく息をのむほど美しい。ナレーション、サブタイトル等は一切なく、映像の世界にどっぷり浸ることのできる映画となっている。
監督であるRon Frickeは、「この映画は良いとか悪いとか主義主張をするためのものではない。ただ、外から見ると、社会はこんなふうに見える」と話していたというが、雄大な自然などがたくさん映っており、純粋に美しい。しかし途中から大都市が映り始めると、だんだん言葉にならない違和感が芽生えてくる。合理性や生産性を追求した現在の都会の社会を俯瞰で眺めると……。その一つが、大量生産システムで製造される「食」の様子である。
2010年前後の世界の国々はこんな状況だったという貴重な記録になる映画だ。ちなみに「Samsara」とはサンスクリット語で「輪廻転生」を意味する言葉という。