カナダ・バンクーバーに拠点を置く環境NPO「Canopy(キャノピー)」の、4月2日の発表によると、スペイン・インディテックスグループが展開する「ZARA(ザラ)」とスウェーデンのファッション小売り大手「Hennes and Mauritz(へネス・アンド・マウリッツ・以下、H&M)」 が、同NPOの展開するキャンペーン「Fashion Loved by Forest」に賛同。2つのメガ級小売企業が、貴重な木を原料から撤廃することを発表したという。
「H&M」と「Zara」が使用を控えることを発表したのは、レーヨンの原料について。ヴィスコースレーヨンなどの再生繊維は、パルプ(木材のくず)などを原料としているが、それゆえ地表・土中でもバクテリアの働きで自然に分解(生分解)し、燃焼しても有毒ガスを発生しないという点から、化学繊維でありながらエコなイメージが近年打ち出されている。
しかし「Canopy」の調査でば、インドネシアの熱帯雨林やカナダのタイガの木々をその原料としているといい、レーヨン生産が伐採の拡大を促し、生態系を脅かしていると警鈴を鳴らしている。2013年、生地生産のために年間7,000万本の木が倒され、今後20年でさらに倍増する見込だという。森がなくなるとそこに住む動物たちの行き場がなくなり、例えばオラウータンなら数十年のうちに絶滅しかねない状況とも。
そこで、レーヨン生地を使用するアパレル企業に見直しを求めるキャンペーン「Fashion Loved by Forest」を展開。絶滅の危機にある木や古くからの老木を守るよう訴えてきた。このキャンペーンに参加しているのは、Loomstate、EILEEN FISHER、Quicksilverなどを含む20社で、ここに新たに「Zara」と「H&M」の名前が加わる。同キャンペーンは、適切な場所と方法で調達された木材を使っているか、参加企業のサプライチェーンを監視していくという。