まだまだファッションウィークの熱気が冷めないニューヨーク。今回は、2月28日に開催されたニューヨーク大学のThe Gallatin School of Individualized Studyという学部の生徒による「NYC Gallatin Campus to Canvas」というファッションショーに行ってきました。
この学部は、自分で勉強したいことを選び、カリキュラムを作っていく自由度の高いクリエイティブな学部なんだそうです。その学部の生徒によるファッションショーはまさしくキャンバスの上に描くよう。それぞれの世界観を覗き見ることができ、刺激的でした!
コレクションは、ファッションデザイナーに始まり、ジュエリーデザイナー、コスチュームデザイナーなど多岐にわたり、見ていて全く飽きないものでした。
中でも、特に注目して頂きたいお二人をご紹介します!
レバント地方のテキスタイル産業を垣間見せる「Rhonda Khalifeh」
まずは、Rhonda Khalifehさんによるコレクション。手書きの柄をシルクスクリーンでプリントした生地が特徴的な彼女のスタイルは、色鮮やかで観客の目を奪います。
シリア出身の彼女は、自分のテキスタイルへのこだわりは自分の故郷にあると考えています。
かつてシリアを含むレバント地方(東部地中海沿岸地方)はテキスタイル産業の中心地として栄えていました。現在は存在感を失ってしまったけれども、いまだにその面影は残されているそうです。シリアで、いまもなお美しいテキスタイルを作り続けている人からインスピレーションを受け、「自分のコレクションを、現代美術としてだけではなくテキスタイル産業の一部として見て頂けたら嬉しい」と彼女は話します。
ブリコラージュしたアフリカの現代アート「ReciclaGEM」
そして2人目は、以前インタビューさせて頂いたTamara Leacockさんの「ReciclaGEM」。今回の彼女の作品のテーマは「ブリコラージュ(※寄せ集めて作る、モノを自分で修繕する、の意味)」。アフリカの現代アートを代表するWangechi Mutuからインスピレーションを受けたそうです。
今回の彼女のコレクションは、「現在の目的を融合していく過程が、社会を変えていく可能性とともに、過去に新たに光を照らすことができるということを表現した」と彼女は話します。全てもう使われなくなった生地のリサイクルで作られたコレクションは、まさに「ブリコラージュ」されており、新たな輝きを力強く放っていました。
自分の世界観をファッションで表現する美しさ
今回「NYC Gallatin Campus to Canvas」にお邪魔させてもらって、アートとしてのファッションを強く体現しているコレクションに圧倒されました。自分の世界観、価値観をファッションで表現することの美しさ。それこそアートではないかと、あらためて感じました。そして、Tamaraさんいわく、若手のデザイナーはエシカルについて考えている人が多いとのこと。アーティスティックな世界観を持ちつつ、エシカルなモノ作りをする若手デザイナーたちに期待が集まります。