企業倫理に関するニューヨークの研究機関「Ethisphere® Institute」が毎年恒例の「もっともエシカルな企業」の2014年度版を発表したが、アパレル企業で選出された企業が賛否両論。米・エシカルファッションウェブサイト「Ecouterre」でちょっとした話題となっている。
アパレル部門で選ばれたのは「H&M」、「Levi Strauss」、そして「GAP」。「Ecouterre」が問題視したのは「GAP」で、同社は「The Public Eye Awards」で「最もエシカルでない企業」として表彰されたばかりなのだ。
「GAP」は2014年1月に、スイスのNGO「Greenpeace」と「Berne Declaration」が主催する「The Public Eye Awards」で市民から「残念賞」に選ばれた企業。これは責任ある営利活動を行っているか市民が選出・表彰するもの。その残念賞にGAPが選ばれた理由には、独立した安全点検を実施し公的な報告書を作成すること、必要な修理や改修の実施、ブランドと小売業者はそれらにかかる費用を負担する責任などを求める「Bangladesh Safety Accord(バングラデシュ安全協定)」への調印を拒否したことを挙げ、「アパレル業界の改善に非協力的」という点が指摘された。
(※ただし、「GAP」は外注している工場での多数の火災事故を受けて独自の火災対策ポリシーを掲げたほか、2013年にバングラデシュの労働者の安全を推進する北米系ネットーワーク組織「Alliance for Bangladesh Worker Safety」に参加したという。)
そのほかにも国際環境NGO「Greenpeace」に指摘されている汚染水の問題などを挙げて「Ecouterre」は、この選出は本当に良いのか? と投げかけており、読者も「Ecouterre」のFacebookやTwitterで「誰が選出したの?」「おかしい」と反応している。
「Ethisphere® Institute」の判定基準は、「倫理とコンプライアンス(25%)」「評価・リダーシップ・イノベーション(20%)」「ガバナンス(10%)」「企業の社会的貢献・責任(25%)」「文化・倫理(20%)」の5つの分野を総合的に見ているという。企業がエシカルかどうかを判断するにしても、全てを完璧にするのは難しいのはもちろんだ。さまざまな情報を鑑みて、総合的な判断で選出されたのだろう。しかし市民からの理解を得られるよう真摯な態度で説明し、説得していくことも重要だということが、今回の一件でいえるのではないだろうか。
元の「Ecouterre」の記事は→コチラから。