「Flesswood」という名を聞いたことがある人はいるだろうか? その名前が世界中の注目を集めたのは、2013-2014AWの「Dolce & Gabbana」のランウェイショーだった。同ブランドのトラベルケース、プラットフォームシューズ、ハンドバッグが誌面を飾るたび、Flesswoodを目の当たりにしたはずだ。
Flesswoodとは、イタリアの木材会社Filbo Snc社が1900年代初頭に開発した木材のことである。同社はもともと、ギターや額縁を製造していた企業だったが、創業者の孫娘・Monica Nicolini氏の発想によって「肌のようにしなやかな木材」の開発が進められた。Flesswoodは、縫うことも可能で、もちろんそれを洗うこともできる。以来、ファッション分野・インテリア分野でその特性を生かした商品が開発されている。
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さまざまな木材が、同社の工房で「熟成」される。その年月は、10年、40年、そして60年にのぼるものもある。研究に研究を重ねて編み出された技術を用い、熟練の職人たちが木材の新しい用途を生み出している。FlesswoodはFSC認証を取得した木材でできており、加工は環境にやさしく、クロムやアルミニウム、チタニウムなどの薬剤は使用されていない。
レザーと組み合わせることもあるが、その場合はエコレザーとの組み合わせが優先されるべきとMonica女史は主張し、イタリアンレザーの中でもAusonia社のレザーを推薦している。同社は1946年の創業以来ベジタブルタンニンなめしで有名で、現在も環境に負担がかからないリアル・レザーの加工で注目を集めている。
Flesswoodの次の目標は、クロコやリザードなどのエキゾチックレザーを、木材でできた「エコレザー」で代用させていくことーーそれはいわば、切り倒されてなお、動物を守る木々ーーではないだろうか。