【連載】Ethical Girl's Style in N.Y.【全7回】

「Vegan」という選択肢

A Picture of $name Shiho Hasegawa 2013. 12. 28

みなさんは「Vegan(ヴィーガン; 動物性原料を一切使用していないこと)」という言葉をご存知でしょうか? 日本ではまだまだ馴染みのうすい言葉ですが、ニューヨークでは食においても、ファッションにおいても欠かせないものになりつつあります。今回はそんなヴィーガンに関するレポートをお届けします!

ニューヨークでは、いたるところにヴィーガン

ヴィーガンとは純菜食主義のことで、魚や肉、卵はもちろん乳製品や蜂蜜なども口にはしません。そして、革やウール製品などの使用も避け、動物からの搾取をなくそうとするものです。

ニューヨークに来て驚いたことの一つは、ヴィーガンが街中に浸透していることでした。ヴィーガン専門のレストランはもちろん、普通のレストランでもヴィーガンフードの取り扱いがあったり、ヴィーガンシューズ専門店などもあります。友人の中にもヴィーガンが数人います。たまたまレストランに入ってみたらヴィーガンレストランだった! なんてこともありました。

でも私たち日本人の感覚からすると、ヴィーガンの食事だけで栄養が足りるのだろうか? そもそも、あんまりおいしくなさそう……と思ってしまいます。

ヴィーガンの食生活は、コレステロール値や血圧を下げ、心臓病のリスクを減らしてくれるメリットがあります。その一方で、ビタミンB12やビタミンD、鉄、亜鉛など特定の栄養不足に陥ってしまうことも研究で分かってきています参考:The American Journal of Clinical Nutrician特に、妊婦さんのヴィーガンは議論を呼んでおり、妊娠中はヴィーガンの食生活を控えるよう指摘する人も多いです。ヴィーガンであるナタリーポートマンも妊娠中はヴィーガンの食事をやめ、卵や乳製品をとっていたそうです。

おいしくないとは言わせない! ニューヨークのヴィーガンレストラン

vegan-1では、味の面ではどうでしょうか?せっかくニューヨークにはたくさんのヴィーガンレストランがあるので、実際に行ってみました!

訪ねたのは、エシカルファッションブランド「ReciclaGEM」デザイナーのTamaraさんおすすめのヴィーガンレストラン「Sun In Bloom」! Tamaraさんとは、以前、インタビューをさせて頂いて以来、仲良くさせてもらっています♬

彼女は5年程前にアメリカ人の食生活に関する本を読み、アメリカで生産される肉や魚がどのように残虐に育てられているのかを知り、ヴィーガンになったそうです。ただし、彼女も健康面では菜食だけでは補えず、鉄などのサプリメントを飲んでいるそうです。

今回オーダーしたのはアップルパンケーキと、ベーコン風しいたけのパンケーキです。パンケーキはもちもちで本当においしく、牛乳も卵も使っていないなんて信じられない味でした。この他にも、BLTサンドやハンバーガーなどもあります。ヴィーガンなんておいしくなさそう……と思っている人はイメージが覆されるはずです!

(左)Tamaraさんとパンケーキ! (右)店内の様子

(左)Tamaraさんとパンケーキ! (右)店内の様子

ファッションもヴィーガンへ!

ヴィーガンは食のイメージが強いですが、実はヴィーガンファッションも浸透しつつあります。つい先日も、動物愛護団体・PETAがアンゴラの残虐な製造過程の動画を公開したことがきっかけで、動物虐待への批判が高まり、ステラマッカートニーやカルバンクライン、H&Mなどがアンゴラの使用を全面的に廃止しました。10万人の嘆願書が集められ、トップショップがアンゴラの使用を中止したということから、消費者のヴィーガンファッションへの意識の高まりがうかがえます。

初めてのヴィーガンシューズ選び

ニューヨークにはヴィーガン専門のシューズショップもあります。私が今回訪ねたのは、オシャレなレストランやセレクトショップがそろうロウアーイーストサイドにある「Moo Shoes」です。
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まず、最初に「かわいい!」と思ったのがこちらのファー付きのブーティ。パンツに合わせても、すっきり決まるブーティは冬には欠かせないですよね。こちらのブーティは「J-41」というブランドのもの。J-41の靴は100%リサイクル素材で、履きつぶしてしまった後でもリサイクルが可能です。ファーももちろんリアルファーは使っていません。
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次に気になったのが「CRI DE COEUR」のキラキラ感がかわいいフラットシューズ。靴底は手づくりで、中敷にはクッション機能もついており履き心地バツグン。デザイナーのGina Ferraraccio とJulie Dicterowはニューヨークの音楽やアートからインスピレーションを受け、ヴィーガン素材とは思えないようなデザインと質を追求してきたそうです。アン・ハサウェイやエル・ファニングもCRI DE COEURの大ファンだそう。
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こちらは「NEUAURA」というブランドのブーツ。 NEUAURAの靴工場では、水の使用を抑え、環境へのダメージを極力排除しています。さらに工場の電力は水力発電でまかなっているそうです。革製品のように見えますが、もちろんこちらもヴィーガンレザーなので、動物の皮ではありません。長く履けそうなデザインと、履き心地の良さが気に入り、こちらを購入しました! エシカルなものがワードローブに増えていくのは嬉しいですね♪
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私はヴィーガンではないですし、今のところなる予定もありません。ただ、今回ヴィーガンについて知り、Tamaraさんのお話を聞いて自分を作る食や、ふだん身につける衣服について考えるきっかけをいただきました。ふだん、何の考えもなしに手にしたものを食べ、ただただかわいいものに惹かれて購入していた生活から、「あれ、これはどこのもの? 何が原料? どうやってできたのかな?」と少しずつ考えるようになりました。そして、ヴィーガンはおいしい! ヴィーガンはかわいい! と知ることで、私の中でモノを選ぶ際に、「ヴィーガン」という選択肢が増えました。忙しい毎日は変わりませんが、みなさんも1日1分でも自分の口にするものや身につけるものを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

おまけ

ニューヨークのクリスマスに欠かせないのがロックフェラーセンターのツリーです!
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このツリー、クリスマスの後は再利用し、家を造る木材として寄付されます[※参考]。昨年から始まったこの試みは、当初は甚大な被害を及ぼしたハリケーンサンディの復興のために始まったのですが、反響の大きさから今後も続けていくこと決めたそうです。ツリーとしての役目を終えた後は、家を作る木材として活用されるのはとても良いですよね♪

それではみなさんHappy Holiday!

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