ブリティッシュ・カウンシルが運営する「YCE(Young Creative Entrepreneur)Fashion Award」の2008年度受賞者であるCarla Fernándezのブランド「Flora」は、移動式ラボラトリー(研究実験室)でメキシコ中を旅しながらその土地の女性協同組合と協働し、テキスタイルや衣服を作るという試みである。同国の豊かなテキスタイルの技術と歴史に深い感銘を受けたCarlaは、それらを守り伝えていくことを決意。10年にも及ぶ研究の中で、何枚もの「絶滅危惧衣服」を収集し、ファイリングをしてきた。それによって、パターンメイキングの技術、プリーツ加工のテクニック、刺繍技術などを保全してきたのである。それらにインスピレーションを受け、彼女独特のデザインが生まれている。
その希少性の高いカッティングや素材は、世界中の注目を集めている。サンフランシスコやロンドン、日本などさまざまな国でプレゼンテーションを行ってきた。実際、ブランドのセールスはメキシコ国外によるものが中心だ。彼女は、世界中にメキシコの文化を伝えていけることに誇りを感じているという。
Carlaは、ブランドのデザイン論についてこのように語る。
メキシコでは四角や長方形をベースにさまざまな折りやプリーツを組み合わせて新しいフォルムを生み出してきました。そのように、もともとどのようにメキシコの衣服が作られていたのかを、一つひとつの衣服に反映させています。複雑なデザイン論を職人たちと共に現代に蘇らせることが、ブランドの存在意義なのです。
自国の文化を継承していくうえで使用する素材も、伝統的な技術にのっとりシルク、コットン、ウール、アルパカを採用。女性たちとオリジナルのテキスタイルに仕立てて服に落としこんでいる。
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