アップサイクルに取り組むエストニア人デザイナー「Reet Aus(リート・アウス)」が、バングラデシュで生産するアップサイクル商品を今後広く販売していくことを発表した。アップサイクル商品は、素材が限られているため大量生産体制を敷くことが不可能に近いとされていたが、大手企業と組むことにより、その壁を取っ払うことができる。
「Reet Aus」は、2005年に洋服の製造過程で余った布切れや、売れ残りで処分される運命の洋服の生地を材料とし、クリエイティブなファッションを世界に発信するプラットフォーム「Trash to Trend」を立ち上げるなど、デザイナーとしてもまた博士課程の研究としても精力的にアップサイクルに取り組んできた。
エシカルファッションの研究で博士課程を収める中バングラデシュを訪れたデザイナー・Reet Ausは、バングラデシュのアパレル企業「Beximco」と知り合い、同社が処理に困っていた端材を活用してアップサイクル商品の展開を進めていくことになった。Beximco社は年間5600万トンの衣料を生産しており、使用する生地の10〜30%を廃棄している状況だった。「アップサイクルが廃棄量の大量削減に寄与できることが証明できる」とReetは話しているが、今回の取り組みでは同社の廃棄量の50〜65%を削減できる見込だという。
Reetの試算によれば、通常のTシャツ生産と比較すると「Up-shirt」1枚の生産につき、電力を89%削減、水量85%削減、CO2排出量84%をカットできるという。本取り組みを通じて生まれた各商品の詳しいフットプリントも「Reet Aus」のウェブサイトで掲載している。
「Reet Aus」は、2013年11月14日までアメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」を通じて、アップサイクルへの賛同を集める意味も込めてBeximcoの端材を用いた大量生産可能なアップサイクルTシャツ「Up-Shirt」への支援を募集。自身の調査に基づいてTシャツ産業の無駄を指摘しつつ、アップサイクルの意義を説明し、1,000ドルの達成に成功した。
Beximcoの素材を用いたコレクションは、「Trash to Trend」で購入が可能となっている。