女性を冷たい雨から守るためのアツい傘〜「Joyaux Marisol」

A Picture of $name HITOMI ITO 2013. 9. 12

人生に降り注ぐ雨は冷たいもの。アフリカの女性たちに降り注ぐ雨は、生易しいものではありません。レイプに差別、女性の権利がまだまだ脆弱な地域も少なくありません。「Joyaux Marisol(ジョワイユ・マリソル)」は、アメリカ ニューヨークに拠点を置く傘ブランド。カンガなどのアフリカのテキスタイルを活用した彩り豊かでハッピーな傘は、使う人を雨から守るだけでなく、アフリカの女性たちに降り注ぐ雨からもいっしょに守ってくれるものなのです。

「Joyaux Marisol」の設立者、Miranda Leigh(ミランダ・リー)さんにその思いを聞きました。

Photography: Emily Scott Pottruck

Photography: Emily Scott Pottruck

―― まずはあなたご自身について教えて下さい。
私はニューヨーク市に生まれました。弟が生まれたことによって早い段階から、男の子と女の子の扱いは違うものだということに気づいていました。The Bard Graduate Centerに進学し、そこでアート、デザイン、そして物質文化を専攻。その後、The Gemological Institute of Americaで、宝石学を修めました。「Joyaux Marisol」を設立したのは2006年です。芸術に則ったジュエリーを作ろうと思ったのです。

―― 「Joyaux Marisol」ができた経緯についてもっと教えてください。
2008年、コンゴ共和国で何が起こっているのかを知りました。何百、何千……200万ともいわれる数の女性たちが、17年前に始まった紛争の中でレイプ被害に遭っているのです。その事実にショックを受け、何かせずにはおれませんでした。それから数カ月たった頃ですが、傘というイメージが頭から離れなくなったのです。傘は、守るためのものです。雨から身を守り、休息を与えるもの。家のようなものです。

「Joyaux Marisol」の傘を持つことによって、コンゴの女性たちのために、女性への差別に抵抗する意志を世界に代弁することができます。売上の純利益のうち20%をアートを通じた女性支援の草の根活動を行う団体・V-dayに寄付します。また、この傘は永年保証です。安くてすぐ捨てなければならなくなるような傘ではなく、一つの傘を大切に使うことで無駄な消費を省くことができます。

好きな柄と好きな取手の色を組み合わせてカスタマイズする

購入にあたっては、好きな柄と好きな取手の色を組み合わせてカスタマイズする。

―― では、「Joyaux Marisol」の傘はどのようにして作られているのでしょうか?
アフリカの女性が着ていたワックスプリント生地を利用しています。現地で撥水加工をしています。1つのプリントで4つの異なるデザインがとれます。そのため、1つの生地を用いた傘は3〜4つしか作りません。ゆえに一つひとつがユニークで唯一無二の傘なのです。いずれは、現地で雇用している女性たちがテキスタイルデザインを習得し、自ら仕事を生み出していけるようにしていきたいですね。

製作にあたっては数少ない傘職人の一人、Gilbert Center氏が協力してくれました。最初の数年は彼が手ずから作ってくれました。そして私にも一から指導してくれました。現在私たちは現地の女性たちにそのスキルを指導しているところです。一本仕上げるまでに1時間半かかります。忍耐力、熱心な集中力、そして傘への深い愛情が必要な作業です。

傘職人、Gilbertさん

傘職人、Gilbert Center氏

―― コンゴのどういったところが好きですか?
コンゴの女性たちの強さが、私に希望を与えてくれます。コンゴが好きだからコンゴを活動の地に選んだのではありません。コンゴが私を選んだのです。女性が女性であるのには過酷過ぎる国だからこそ。

―― V-dayについても教えて下さい。どのような活動をしていて、どんな進歩が得られていますか?
V-dayは、国際的な草の根活動を行う団体です、女性への暴力をなくすために活動しています。脚本家であり社会活動家であるEve Ensler氏によって設立されました。「Joyaux Marisol」は、V-Dayと信念を同じくし、芸術で平和を築くことができると信じています。

V-dayのコンゴでのキャンペーンは、City of Joyという女性向けのトレーニングセンターを支援しています。そこはリーダーシップの取り方やその他の教育を提供し、就業機会の創出などを支援している革新的なセンターです。最近、当社からの寄付金でミシンと機織り機を導入することができたそうです。

セーフハウス City of Joyの女性たち

セーフハウス City of Joyの女性たち

―― なぜ、購入者がカスタマイズ可能なビジネスモデルにしたのですか?
生地はいろんな色のハンドルと相性がいいものが多いです。自分の好きな色を組み合わせるのはとても楽しいことですよね。その他のカスタマイズのリクエストも受け付けています。お客さまと密接な関係を作っていきたいと考えています。自分がどういう人なのかを表現することを楽しみながら、より大きな動きに貢献していただけるようにしたかったのです。そうした女性どうしの助け合いのかたちを「21世紀の姉妹愛」と私は呼んでいます。

―― それでは最後に、今後の予定などを紹介してください!
「Joyaux Marisol」の夢は、女性たちに教育機会を提供し、いずれはデザイナーとして雇用していくことです。それに向け今年7月、ケニアで初のワークショップを開催しました。W.R.A.P.というナイロビにあるセーフハウス(=レイプ被害に遭った女性たちを保護する施設)の女性たちと行いました。そのほかにも、今後はアメリカはもちろん、ハイチなど他の国でも開催したいと思っています。グローバルに活動を続けていきたいですね。

Joyaux Marisol

Website:http://www.marisols.org/(Web Shopもこちらから)

※日本での取り扱い店舗はありませんが、ウェブから購入可能。まずは好きな取手の色を選択。次におすすめのテキスタイルから組み合わせる柄とサイズを選択。サイズはGirls(約⌀76cm)、Grande(約⌀86cm)、Original(約⌀81cm)の3つ。価格帯は、395USD〜455USD。もちろん、日本からの購入も永年保証アリ、男性の購入もOK!

この記事のキーワード

Keywords

Sponsored Link
次はコチラの記事もいかがでしょう?

Related Posts