ロンドン芸術大学の中のカレッジの一つで、著名なデザイナーを多数輩出しているファッションの名門大学、セントラル・セント・マーチンズ。現在、注目を集めているのがJolene Fungさんの卒業制作です。
ディオールの「ニュールック」スタイルの美しいドレスの素材は、なんとビニール袋。アップサイクルはクリエイティビティ勝負というのを地でいくコレクションです。Joleneさんに、作品について聞いてみました。
―― この作品を作るに至った背景を教えてください。
デザイン面では、1960年代に登場したシンプルかつ合理的でありながら、レトロ・フューチャーな雰囲気が漂う、ミッドセンチュリーモダンデザインにインスピレーションを受けました。戦後街に溢れたたくさんのカラーリングにも今回インスピレーションを受けています。
数年前にYoutubeで、ビニール袋を溶かしてつなげる様子を見ました。卒業制作のためのリサーチを始めた頃、ふとその映像を思い出したのです。それが最初のきっかけになりました。何かそれを生かしたサンプルをチューターに見せなきゃ! と思い立ったのですが、ちょうどシンクの下に、必要なものは揃っていましたしね。ビニール袋は必要なぶんがありました。アイロンで溶かしながらプリントを施せるのでは? と思い試したら、うまくいったという感じです。すごくすてきな仕上がりでした。
ものごとがうまくいく瞬間ってあるものですね。技法がうまくデザインと絡み合って、50年代のディオールのニュールックのように仕上がったかたちです。
―― 最終的に素材として使用したビニール袋は、どういったものでしたか?
ほとんどは、チャリティショップのTRAIDから譲り受けたビニール袋です。みなさんがTRAIDに服を持ってくるときに使われたものです。
―― もともと、アップサイクルやリサイクルといったことには興味あったのでしょうか?
卒業制作ですし、意識してリサイクルしようと思ってやったのではありません。ただ、今まで誰もやっていないことで、みんなをあっと言わせるようなものを作りたいと思っていました。
でも、もしかしたらふだんからそういうマインドを持っていたってことなのかもしれません。ふだんの生活はけっこうエコですし、ふだんの生活がクリエイティブにも深く影響するのかもしれませんね。ふだんの生活こそ大切なのでしょう。
―― 今後も、リサイクルなコレクションを発表する予定はありますか? 卒業後の予定は?
今回の卒業制作に関連したアクセサリーラインを作っているところです。同じ手法でリサイクルを活用しますが、もっと部分的にあしらったものになる予定です。直に就職活動ですが、特にコレといって決めていることもありません。
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