「エコファッション」つまりは、「持続可能なファッション」。衣服・アクセサリー・靴を含め、アイテムを生産するための素材や慣行が環境に配慮されたファッションのことだ。一般的に、適切な環境で作られたオーガニック素材や天然素材でできたものか、捨てられるはずだったものをアップサイクルしたものか、リサイクル素材を使用しているもののことを指す。
世界には、このエコファッションについてのウェブサイトもたくさんある。ナタリー・ポートマンやグウィネス・パルトロウといったセレブはエコファッションを推進し、自身も身につけている。エコファッションに取り組む企業も増えてきている(ちなみに我々、Postconsumerが気に入っているのは、「TOMS」だ)。ウェブで検索すれば、エコなファッションブランド、デザイナーを見つけることもできる。逆に、Etsyのようなサイトを見てみれば、ハンドメイドの市場も広がっている。
さて、ここで問いかけたいのが、エコファッションとは本当に環境に良いものなのだろうか? それとも本当はそうではなく、事実と反するメッセージを伝えているのではないだろうか?
エコファッションの良いところ
少なくとも、従来のファッションの使用する素材や慣行と比べればずっと良いということはいえるだろう。ハイファッションブランドでも、スーパーで買った衣料品についてもいえることだ。もっといえば、「これはいったい誰がどのようにして作った服なのだろうか?」と消費者が考えるだけでも一歩前進だ。エコファッションは、それを好む人のための特別なショップにだけ置いてあるものでもない。意外にさまざまなブランドがエコアイテムを出しているのを知れば、あなたもちょっとびっくりするに違いない。
例えば、アメリカの大手デニムメーカー「Levi’s」。同社は、従来の製法より水の使用量を平均28%削減した環境配慮型ジーンズ「Water<Less(ウォーターレス)」を出している。もっとも、水やエネルギーの価格が高騰しているから編み出したラインであることは暗黙の了解だ。重要なのは、ちょっとリサーチをすれば、よりエコな選択肢はすぐ見つかるということだ。
最もエコなファッションといえば、リサイクルファッションが挙げられるだろう。捨てられるはずだった何かをアップサイクルして、新しい命を吹き込む。そうしなければ、ただゴミ捨て場の山の高さを積み上げるだけのものである。それを防ぐようなファッションを選んだ人は、責任ある買い物をしているといえる。
エコファッションの悪いところ
とはいえ、ファッションはファッションに過ぎない。おしゃれであるためには、時流に乗っている必要がある。すなわち、エコファッションも移り変わるモードを追いかけるよう促し、一時的なトレンドに乗じただけのアイテムの購入を促すものだ。
ブランドの「やり方」がエコであっても、消費者の「買い方」がエコでなければ意味がない。すなわち企業・ブランドが、個人が持てるものの個数には限界があるということを伝える必要がある。エコファッションもファッションである以上、アイテムを売ることで成り立つ商売だ。なぜ自身のアイテムを選択すべきかを説得して、買ってもらえるよう仕向けなければならない。
エコファッションを推進する企業が、「ムダな買い物をするな」というメッセージを発信しなければならないのは、ちょっと矛盾を感じないでもない。では、消費者にとっての解答とは?
我々は、「全体的に買いものの量をほどほどにする。買うときは、エコファッションアイテムを選ぶ」ということだと考える。何をどのくらい買うのかを考えながら買い物をすることだ。意識しなければ、簡単に消費の罠にかかってしまう。
買い物をすることは悪ではない。何かに惚れ込み、欲することも悪ではない。それが過剰になることが悪なのだ。ファッションと過剰な消費のバランスを自分で取ること。それは正直簡単なことではないかもしれないが、自分が満たされるためのボーダーラインを見つけることだ。自分で縫った麻袋のような服を着ることを推奨しているわけではない。そんなことではなく、小さな意識のシフトが、カーボンフットプリントとお金の浪費を防いでくれるのだ。