名古屋駅から徒歩15分――歴史的な建物がいくつも残り、下町の情緒あふれる円頓寺商店街。昔懐かしい雰囲気漂うこの町並みに、驚くほど自然に溶け込む現代的なデザインのギャラリー&ショップ「garelie P+EN(ギャルリーペン)」はあります。
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名古屋を中心に活躍するスタイリスト・永井千里さんが手がけるこのお店は今年で2周年。中に入ると、真っ白な部屋にセンスよく飾られた洋服やアクセサリーがお出迎え。余分な装飾がなくても、商品そのものの存在感がお洒落な雰囲気を演出しています。
garelie P+ENは、センスが光る国内外からのセレクト&店のオリジナルブランド「p plus /ピ・プリュス」の遊び心満載の洋服と雑貨が揃います。
garelie P+ENのセレクトアイテム
セレクトの基準は、「デザイン・質がともに良く、職人のこだわりが感じられるもの。丁寧なものづくりが好き」と永井さん。スペイン、イタリア、リトアニア、スウェーデン、スロヴァキアなど、世界中から個性溢れる品々が集まります。毎シーズン、常に新たなブランド発掘を続けているそうで、お店には素敵な商品が常に目白押しです。
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【右・左】BULDING BLOCK: 東京発・ロサンゼルスを拠点に活動するデザインプロジェクト。革、ゴム、木材のみで作られたバッグ。
【真ん中】AISTE NES TERUVAITE(リトアニア):リサイクル素材を繋ぎ合わせたマフラー
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FEDERICA MORETTI(イタリア):リサイクルペーパーで作られた帽子。とても丈夫で、使い込むほど良い風合いに。
オリジナルライン・P Plus
オリジナルライン「P Plus(ピ・プリュス)(※2012-13 AWより「pénélope plus」からブランド名を変更)」の世界観もすごい! 「P plus」のこだわりポイントは、
・タイムレス
・エイジレス
・シーズンレス
・スタイルよく見えるシンプルな作り
ですが、なんといっても一番の特徴は、着方のバリエーションの豊富さ。ノースリーブになったり長袖になったり、ワンピースにもトップスにも変幻自在の、魔法のようなアイテムなのです。
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2011-12 AW より、3スリーブワンピース
普通の洋服一枚でも、アイデア次第で色んな着方ができる。だったらそのアイデアを最初からデザインに落とし込んで、もっと簡単にバリエーションを楽しんでもらえるものを作ろう!と。そうすればシーズン問わず着ることができ、いろんなスタイルが楽しめます。
これはまさにファッション業界での豊富なキャリア + 服を愛する心が生んだアイデア。素材は主にリサイクル生地問屋で入手し、愛知県内にあるいくつかの小さな工場に縫製を委託しています。確かな腕の職人さんが、次々に仕事を失っていく現状を危ぶむ永井さん。
過剰包装を避けるなど、出来るだけ無駄なコストを省きながら、各工程に関わっている人々にきちんとした対価と敬意を払う。それがものづくりの基本。
そんなP Plusが大事にしているモットーは、≪商品と価格が適正であること≫。店舗をオープンした当初は、商店街を散策中にふらっと寄ったお客さんが、値段見るなり『高ッ!!!!』と、露骨に言って帰ったりするなど、へコむこともあったそうです。しかし最近は、そんな言葉も気にならなくなったそう。
良いものを作り、各工程できちんとした対価を払う。そのうえでいつもギリギリの値段を設定しています。なので基本的にセールはしないけれど、生地・縫製・着心地の良さと使いやすさを考えてもらえれば、むしろお買い得なくらい。
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右:2012-13AW collection 左:南アフリカのカンガ布で作ったふろしきバッグ
実際に、他にはない個性的なデザインと、長く愛用できる質の良さを気に入り、根強いファンになる人も多数。「一枚の洋服を辿ると、数え切れないほど多くの人が関わり、多くの資源が使われている。それらへの気遣いは、言わずして当たり前のこと」という永井さん。その一言一言には、ものづくりへの責任とこの上ない愛が感じられます。本当に気さくで、軽やかなのに力強い魅力的な女性です。
目に見えないところにまでこだわるからこそにじみ出る、“本物”が放つオーラが存在する場所。galerie P+ENには、ストーリーを語らずとも一瞬で目を惹くものばかり。しかしそれらには全て、うわべだけではないこだわりと愛情が詰まっています。そのパワーこそが、お店全体に溢れる素敵なオーラの源なのかもしれません。
ギャラリーとしても
galerie P+ENは、ショップだけでなくギャラリーとしても大活躍。さまざまなジャンルの作家による展示会やライブイベントが定期的に行われ、他ではなかなかお目にかかれない新鮮なアート・文化に触れることができます。空き物件を改装したという店舗は、永井さんのご主人で建築家の市原正人さんがデザイン。ショップとギャラリーが両立可能な3階構造です。
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2010年3-5月≪マガジンライブラリー≫
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2012年8月、東京のニットアーティストmahuyu exhibition ≪-from day to day-≫
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2012年7月、今年で2回目の気仙沼復興支援プロジェクト「16ヶ月の写真展」と「復興支援市」
繁華街ではなく、あえて昔ながらの円頓寺という場所に店を構えたのは、昔から旦那さまといっしょにこの地域の活性化に取り組んでいたのがきっかけ。
「趣のあるこの街で新しい文化を発信し、人の流れが生み出せるのでは(HPより)」という思いがあるそうです。“粋”という言葉が似合う、凛とした素敵なアート空間です。名古屋にお越しの際はぜひ覗いてみてください! きっと、一つ一つのモノたちが放つ魅力的なパワーに元気をもらえるはず。