かっこよくなる為に「かっこよく生きる」――日本新上陸のNY誌「TWELV」の編集長に聞く、モードとチャリティ

A Picture of $name HITOMI ITO 2012. 9. 24

文化服装学院卒のHissa Igarashi(ヒッサイガラシ)氏が編集長を務めるニューヨーク生まれの新モード誌「TWELV」(2,520円・税込)が、今夏日本にデビュー。トレンドを左右する真のバリューはアートにあるとして、さまざまなエネルギーに満ちていたとするに満ちていたとする1980年代が持つ力を再考し、現代のチャリティ・ファッション・文化関連のテーマに関わる人物をインタビューやビジュアルを通じて紹介しています。現在、アメリカ、フランス、イギリスなどで販売されています。

しかも、雑誌とWEB・デジタル版の売り上げ12%をチャリティーおよびコミュニティー団体へ寄付されるというからスゴイ。「将来、発展途上国に学校を作るのが夢」と語り、「ただ一生懸命仕事をしながら自分のセンスを信じている」とも話すヒッサさんに、モードファッションとチャリティーについて聞きました。

この時代に愛とかアートとかロックとか、そしてたまにチャリティを熱く語れる大人って素敵だと思います。高級ブランドを身にまとうだけじゃ、かっこよくない。かっこよくなる為に「かっこよく生きる」。そういう、ちょっとした新しいムーブメントを作るのが「TWELV」の夢です。

―― 発展途上国に国を作るのが夢というのはなぜでしょう? きっかけとなるエピソードがあれば教えてください。
幼い頃から、よくテレビ等でアフリカや世界の貧しい人たちを助ける番組を見ていました。将来、そのような町や村に学校を建てたいと思いました(教育がそのような貧困状態の子供達を救うことができると思っています)。
僕にできることといえば、このようなファッションでの表現しかないのですが、TWELVマガジンからの発信で少しでも世界の貧しい人たちのためになればと思っています。

―― 寄付先に国連世界食糧計画(WFP)、国境なき医師団(MSF)、FEEDを選んだ理由は?
WFPは、2010年にVOGUEのFASHION’S NIGHT OUTでのショーを任されたとき、WFPについてさまざまなお話を聞いて「良いな」と思いました。MSFは、個人でも毎月寄付をしています(医療は大事だと思います)。

創刊号のテーマは「LOVE」。FEEDのローレンブッシュのインタビューやトムペシューへのインタビューなど、読み応えもばっちり。

―― チャリティは偽善だという声が少なからず聞こえてきます。このような意見に対してヒッサさんはどのように考えますか?
僕はぜんぜん気にしていません。なんでも物事がうまくいけばいくほど、ネガティブな発言が増えるものです。ニューヨークでよく鍛えられました。

―― ファッションは世界を変える力を持つでしょうか?ある場合、そのためにファッションは何をすべきでしょうか?
すべき、というと強い言葉に聞こえますが、ファッション(特に日本)は人々に影響を与える力はあると思います。「LOUIS VUITTON」のバッグをほとんどの方が持っているとか、30万のスニーカを購入するなど、日本人のファッションエンゲル係数は非常に高いです。しかし、チャリティーに対するアイディアやイメージは、普段の生活の中では少ないと思います。24時間テレビの1週間前後にしかチャリティーについて考えることがないのではないでしょうか。アメリカを始め、世界のセレブリティのチャリティー活動に比べると、日本のセレブリティのチャリティーに関する興味は低いと思います。

―― またはファッションが貧困を解消するために貢献できることにはどういったことがあるでしょうか?
強いイメージ、影響力のあるブランドは、さまざまなチャリティーをしていますよ。また、ファッション以外においてもいろいろな方向性から世界・地球のことを考えるのはどうでしょうか。

アート性にこだわる「TWELV」創刊号の1ページ。

―― 好きなフォトフォトグラファーを一人教えてください。なぜ?
Bruce Weber。写真にさまざまなLOVEがあるから。

―― 好きな作家と作品教えてください。
Paul Auster(ポール オースター)。

―― 「TWELV」の編集にあたって心がけていることは?
世の中、雑誌業界が広告の方向に進む中で、できるだけアート性が強い、美しいクオリティの高いショットを幅広いみなさんにお届けできるように心がけてます。消費の格差やチャリティに対する偏見、ひいては「本当にかっこいいことは何か」というセンスを変えていけたらいいなと思います。

TWELV

Website:http://www.twelvmag.com/

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