你好! 今回は上海から列車で少し旅をしてみましょう。上海から南京へ向かう特急列車で30分くらいのところにある苏州という街へ。9月に結婚式をとり行う予定の上海カップルの友人が案内してくれました。江蘇省苏州市(蘇州市)は古くから絹織物で栄えた街です。旧市街を通る運河の両サイドには伝統家屋が並び「東洋のヴェニス」と呼ばれるほど美しい景色をのぞむことができます。
苏州のウェディングドレスマーケットへ!
前回は、中国の恋愛事情とファッションを絡めてお話しましたが、上海カップルたちがその後縁あって結ばれたとき、そこでも「MADE IN CHINA」ファッションが関わります。そう女子の憧れウエディングドレスです!
苏州駅を中心に新市街が広がりますが、そこから少しタクシーを走らせた旧市街に「ドレス市場」があります。どんな市場かというと、そのエリア一帯にドレス屋さんが集中している、というよりも見渡すかぎりドレス屋さん。そうでなければ、アクセサリーやウェディングベールなど、ドレス関連商品を販売するお店しかありません。隣のお店もお向かいのお店もそのお隣さんも全てドレス屋さんです。メンズの婚礼服専門店もあります。私のような一見さんではどのお店が良いのか全く検討もつきません。今回は2人がオススメのお店に何軒か入ってみることにしました。
お店ごとにデザインのテイストや価格、既製品かオーダーメイドかなどさまざまで、とにかくその種類や量が圧巻です。そこに中国国内、または世界中のバイヤーが買い付けに来てあちこちへ売られていき、世界中のたくさんの花嫁と結婚式を彩っているのだろうと思うと、なんだかうれしくなります。
たくさんのドレスで埋め尽くされた店内で、来店客は選び放題、試着し放題! 女性客は目をキラキラさせながら運命の一着に出合うまで吟味します。店員さんの対応もとても丁寧で、似合うモノを一緒に探してくれ、試着も手伝ってくれます。ドレス市場全体がハッピーオーラに包まれていて、とても居心地が良いです。
大きすぎる値段のチガイ
値段は素材やデザインによってかなり上下します。安いものであれば500元(約6000円)。高いものは10000元(約12万円)くらいがだいたいの相場です。そしてこういった市場の醍醐味(!?)でもあるディスカウントの交渉も可能です。市場で高級クラスのドレスを買っても、日本の相場に比べるととても安く買うことができます。既製品でサイズが合えば、その日に持ち帰ることができますし、サイズ直しや、オーダーメイドにした場合でも1~2週間で受け取れるとのことでした。
それにしても値段の差がすごいのですが、質にどんな違いがあるのか簡単に説明しましょう。
500元のものは、すぐに引っかかりそうで光沢に品が足りないポリエステルサテンを使用したものが多いです。そこまでこだわらない場合なら問題ないと思います。カクテルドレスや、カジュアルなパーティーや結婚式の二次会で使えそうなワンピースがありました。通常、日本で買えば3~5万円といったところだと思います。
値段が高くなっていくと、ハンドメイド感溢れるレースやビーズ刺繍が施されたもの、デザイナーズブランドもののようなモードなデザインのドレスなどを手に入れることができます(どこかで見たようなデザインもありました……)。日本での販売価格は50万円以上にはなると思います。たまに、誰がどこへ着て行くの!?と思うデザインも正直ありますが、かわいいものもたくさんありました!
星の数ほどの店舗とドレス。さぞかし競争が激しいのではないかと思います。閑散としたお店もあるので心配になりましたが、どうやら儲かるしくみがあるらしいのですが、これはまた詳しくまとめてお伝えできたらと思います!
ドレス小売の裏側
ドレスや絹に限りませんが、こうした生地の市場はもともと卸専門でした。ですが最近では、このように小売りをする店舗が増えています。ここ数年の景気悪化に伴い、諸外国の契約解除や発注数が減少してきているのも原因であると思います。中国国内はまだモノが売れているので、各産地は国内販売用の提案にとても力を入れています。それでも苦しいところが出てきているというのは、今まで諸外国が中国で生産してきた量がどれほどであったのかと考えさせられます。
日本に一時帰国したときは必ず、マーケットリサーチでいろいろな店舗を周るようにしています。今、伝統工芸品など「MADE IN JAPAN」を集めたコーナーを設けるお店が確実に増えていますが、失いかけた伝統を見直そうとする動きが生まれているのを確かに感じます。日本の産地を再度盛り上げようとする動きも出てきているようです。
それも確かにすばらしいことなのですが、一方で、何年もかけて開発し、散々生産してきた中国という生産地を放り出そうとするかのような、チャイナプラスワンの動きもあります。かつてシルクの産地として栄えた街の現実を想像し、既存のものをムダにせず、世界中の産地が活気に溢れる道はないのだろうか? と考えさせられました。