「エコファッション」――誰も「エコ」の意味を定義していない

2012. 9. 13

世界はめまぐるしく変化していて、エコな商品を自社の商品ライナップに加える企業は日に日に増えている。ありがたいことに、近年のエコなアパレル素材は、より鮮やかで多様な色、そして質感に優れるものが増えてきている。数年前までは、「いかにも麻」というようなごわごわものばかりだったのに。時代は変わるものだ。

さて、「サステナブル」「エコ」「グリーン」(※ここでは一括して「エコ」と呼ぶことにする)という波に乗っかる企業は日増しに増えているとは先述したとおりだ。しかし、企業がそもそも「グリーン」といった言葉を本当に理解し、自分のものとしているのかは分からない。だってアパレル企業が投入するサステナブルラインなんて、どれもこれも似たり寄ったりじゃないか!

「エコファッション」とはどういう意味か――それには諸説あるが、僕はこの言葉を改めて基本的なところから定義し直すことが重要だと思う。エコといえども、何かしらの環境的な損失・コストがかかっているのは確かなのだ。例えば、「エコ・ランジェリー」は多くの場合オーガニックコットンかモダールを使用しているが、同時にスパンデックスや他の伸縮性合繊を使用している。スパンデックスはエコ素材ではないが、スパンデックスを使用することで、その衣類は長持ちするようになる。エココレクションを展開するアパレル企業は、こういった判断に答えを出していかなければならない。つまり、どの素材をどこから調達し、どこで生産を行うか、である。これらの情報が消費者に選択の基準をもたらす。

「エコ」の定義とは?

流行りのマーケティング要素としてではなく、本来の意味として、「エコ」の定義をするのは容易なことではない。一口に「エコ」といっても、内実はいろいろだからだ。例えば、「Certified Organic(認定オーガニック)」はアメリカ農務省の基準に則る必要があり、「フェアトレード認定」を受けるには、世界に複数あるフェアトレード機関の審査を通過しなければならない。これがたいへんな作業であるが、しかし企業が標榜する「エコ」はざっくばらんとしすぎて、いったい何がどう「エコ」なのか分からない。

エコ素材を使用したというだけで、環境への負担が少ないかといえばそうでもない。ゆえに「透明性」こそが重要なファクターになる。オーガニックコットンを使用していても、中国の排水設備が不十分な染め工場で染められているかもしれないし、縫いがインドの不当賃金での児童労働を行なっている工場で行われているかもしれない。オーガニックコットンが中国で生産されていても、メキシコでカットされ、インドで縫われていれば、カーボンフットプリントが膨大なものになってしまう。素材だけでは測れない部分があるのだ。

本当の「エコ」商品と「エコっぽい」商品はどう見分ける?

エコ素材を使用しているといっても、素材によってどうエコなのか、その側面が異なる。

バンブー(竹):竹を繊維・布にする過程において、大量の化学薬品を使用する。それはネイルリムーバーと大して変わらない薬品である。確かに真のバンブー(「竹から直接作られた製品。一般的に”機械処理された竹繊維”と称される)ならばエコではあるが、本当に竹を原料に使ったかどうかは製品になった段階で証明することは難しいという課題がある。その点について、過去に米連邦取引委員会が、バンブーを騙ったレーヨン製品を指摘した例がある。

コットン:コットンは一般的に世界で最も「汚染された」繊維素材と認識されているが、生産可能面積のうち2.5%が費やされている膨大な生産量を持つ。オーガニックコットンは、確かに有害な除草剤・防虫剤などの薬品を使用しないが、その生産には膨大な水を使用し、それも環境負荷の一つといえる。

モダール原料となるのは、木などのパルプ、竹、草など様々な植物で、エコ素材として注目を集めている。しかし、再生繊維であるこれは、製造段階において膨大な化学薬品を使用する。ただし、バンブーを繊維化するよりもはるかにエコではある。

ポリエステル:驚くかもしれないが、ポリエステルがここへきてエコ素材として注目を集めている。再利用性に優れているためだ。しかし、言うまでもなくもともとの原料は再生不可能である。

環境に優しく、お財布にもやさしい

エコなアイテムを購入するにあたって、問題となるのはやはり「価格」ではないだろうか。アパレル企業がエココレクションを導入すればするほど、価格が「標準レベル」から「ラグジュアリーレベル」へと跳ね上がってきている。ランジェリーでいえば、ショーツが15~20ドル、ブラジャーは30~50ドルといったところだと思われる。価格が上昇した背景には、アメリカ国内で生産する分のコストアップや、生産国の経済・雇用を安定させる意図がある。

エコは簡単!

あまりに多くの企業がエコを謳うあまり、本当にエコなファッションを実践していくことが困難になっているように思われる。しかし、少し勉強していったい自分が何を基準に「エコ」とするのかを考え、オープンに情報開示をする企業の製品を選べば問題ない。真に重要な情報を追い求め精査すること。そうして、曖昧な流行言葉を自分のカルチャーとして取り込むことが肝要である。

This Article is Originally from...

Josh Verleun 'My Underwear is Green: How to Buy Eco-Fashionable Lingerie' The Lingerie Addict , April 11, 2011

>> http://thelingerieaddict.com/2011/04/my-underwear-is-green-how-to-buy-eco.html

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