※「Cafe Duri」は、2014年11月22日に閉店しました。
5月12日、名古屋西区にグランドオープンした「Cafe duri」。手作り感のある温かさとともに、個性的なアートが光る洗練された空間。店内の中央には木が植えてあり緑の多さが癒しを誘う、なんとも心地よいカフェです。
一見すると、よく雑誌に紹介されているオシャレカフェのような雰囲気。しかしこのCafe duriは、他のお店と一味違います。オーナー・藤村さんのただならぬ思いとストーリー、そして数え切れないほど多くの人々の優しさが加えられ、その愛情が店内に溢れているのです。
オープン記念祭では、藤村さんがCafe duriを立ち上げるまでのエピソードや、熱い想いのたくさん詰まったメッセージが、多くの人々に届けられました。
Duriとは、バングラデシュの言葉(ベンガル語)で『絆』という意味です。
僕は2009年に、バングラデシュに旅行に行った際に、たくさんのストレートチルドレンを見てきました。赤ん坊を背負って物乞いをする子どもたちや、走っているバスを追いかけながら物売りをする子どもたち。まだ小学生だろうという子どもたちなのに、人生を諦めた瞳をしていたり、逆に絶対に生きてやろうという力強い瞳をしていたりします。
そのときに思ったのは、同じ地球に生まれたのに、生まれた場所が違うだけでどうしてこんなにも違う人生があるのかと。そして自分にできることはなんだろうと。
そこで偶然、ストリートチルドレン支援施設「エクマットラ」を訪ねる機会がありました。そこで生活をしていた子供たちは、全員がストリート生活をしていた子どもたちではないけれど、児童労働をしていたり物乞いをしていたりと、大変な状況にさらされている子どもたちでした。「エクマットラ」に出会い、そこで生活して勉強している子どもたちは、僕に夢を語ってくれました。女優になりたい子。医者になって、母親の病気を治したい子。学校の先生になりたい子。日本に行ってみたい子。エクマットラの施設で働いて、自分のような子どもたちを助けたいという子。全ての子どもたちが、恥ずかしそうにキラキラした瞳で語ってくれました。ストリートで見てきた瞳とは全く違う力強さがありました。きっかけが一つあるだけで、こんなにも希望を持つことができるのかと。
こんなにもすばらしい施設を作ったのは、一人の日本人の若者でした。彼も同じように、ストリートチルドレンに出会って衝撃を受けたそうです。その後、一人で何度もバングラデシュに訪れ、現地の人々とともに一から青空教室から施設まで作り上げていました。
同じ思いなのに、僕はそこまでの勇気がありませんでした。非常にもやもやした気持ちでエクマットラを去るとき、子どもたちが「世界で一つだけの花」を日本語で合唱してくれました。
「一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに、一生懸命になればいい」
このタイミングでこの歌詞を聞いて、ガツンときました。自分にできることをすれば良いと。1人で100歩進むのではなく、100人で一歩進もうと。
だから僕はCafe duriという場所を通して、今なお続くストリートチルドレンなどの諸問題に興味を持ち、少しだけでも行動してくれる人をたくさん作りたいと思っています。性別、年齢、地域、国を飛び超え、たくさんのつながりを持ち、絆を深めて、みんなが幸せになれるお手伝いができれば――それが、Cafe duriの思いです。
お店の改装工事は、ほぼ全てが手作り。藤村さんの熱い思いに共感する多くの人々が仲間に加わり、壁の模様、天井のペンキ、テーブル、タイル貼り、フローリング、棚などなど……なんと、トイレも和式から洋式に作り変えてしまったというから驚き!!! しかも、ほとんど全員が素人で、藤村さんは今まで鋸(のこ)を持ったこともなかったそう。仲間のみなさんの職種も多種多様。グラフィックデザイナー、画家、お花屋さん、フリースクールの校長、学生、会社員、などなど……。ふだんは接点を持たないかもしれない人々が、一つの思いでつながっていくのも素敵です。
改装前。がれきの山からのスタート。
こんなオシャレなテーブルまで手作り!!!
シャッターの絵は、画家のくまたにたかしさんが夜なべして完成させたもの。めちゃめちゃキュートです。
手伝ってくれる仲間の多さや、笑顔が溢れた雰囲気でお店作りが進んでいる写真からは、オーナー・藤村さんの人脈の広さと、人徳の深さを映し出しているように感じます。
さて、数あるフードメニューの中で、duriの名物といえば!! ネパールのスパイスとスリランカのココナッツミルク(どちらもフェアトレード)を使用したココナッツカレー。これを考案したのは、大学卒業と同時にこのCafe duriのスタッフとなった尾関太一さん。彼は、将来自分のカフェを開くという夢に向かって現在奮闘中で、このカレーも一週間こだわり抜いて作り上げた一品だそう。筆者もいただきましたが、まろやかな口当たりと、後からピリっとくるスパイスが絶妙な美味しさでした。
オーナー・藤村さんは、元はバリバリのビジネスマン。途中からキャリアチェンジしてのカフェ経営です。オープンするまでにいろんな困難があったそうですが、それを乗り越えて常に挑戦を続けていく姿は本当にキラキラ輝いています。そして笑顔が癒し系なのもまたすてき!
ゆったりした音楽と緑のある落ち着いた店内に入れば、いつの間にか皆が笑顔になっていきます。そしてその笑顔は、知らないうちに世界の人々の笑顔にもつながっている。そんな素敵な空間です。名古屋にお越しの際は、ぜひCafe duriへ!
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