若手アーティストの発掘・育成を目的に開催される展覧会・アートアワード東京丸の内。若手アーティストの登竜門としてすっかり知られた存在で、今年で6回目を迎えました。2012年のグランプリは片山真理さん(24)。両足とも脛骨欠損という、主幹を成す太い骨がない病気を持って生まれ、9歳のときに切断。以来、両足が義足のアーティストです。
展示された「ハイヒール」という名の作品群は、小物に溢れた小部屋に切断した『過去の足』を装着した女性と、ガーターストッキングにハイヒールを履いた足を装着した女性の2つのポートレートを中心に、その手前に義足や足をモチーフにした布製のオブジェが飾られていました。「個人的な身体の事柄から発し」て、「幼少の頃からの思い出、日常の現在、そして未来への希望へといったさまざまなレヴェルのものを、言葉にできない諸々の形象を通して繋げていく」と評された真理さんの作品は、確かに自身の身体を起点に持つハイパーリアルの作品集ですが、彼女が実際に履いて登場した薄桃色と黒の「ハイヒール」は、その他の制作物とは切り離された「ハイヒールプロジェクト」として特別な主張を持ちます。
2011年、ハイヒールを履いてのライブ出演を目標に、「high-style」という、義足でハイヒールを履くための部品をアメリカから取り寄せたのがことの始まり。取り寄せた足部に合うハイヒールを作る中で真理さんが知ったのは、福祉と装いを取り巻く環境についてでした。
目標を達成するまでの間、現在の日本における義肢装具をとりまく環境――自立するという選択肢すら持てないという現状――を知りました。ハイヒールを履くかどうかだけではなく、サンダル、ローファーを履くこと、スカートを穿くこと(中略)。それらを選択出来るということを知らない、情報が無いという地域格差、情報格差。(http://www.shell-kashime.com/)
それを知って抱えた言葉にならぬ思いを『見せつけ』る、主張のハイヒールなのです。
『両足義足の場合、パイプの長さを変えれば簡単に身長を伸ばすことが出来ます。ですが、ハイヒールのほんの数センチの高さは、それとは違う目線であると思います』とも語る真理さんが、ハイヒールプロジェクトについて、ファッションについて語ってくださいました。
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