一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパンの発表によると、「フェアトレード」の認知率25.7%に上昇し、「見聞きしたことがある」は半数越えたという。同法人は、3月9日~12日に全国1076人(15歳~69歳)を対象に「フェアトレードと倫理的消費」に関する意識調査を行った。
フェアトレードという言葉を見聞きしたことがあると回答した人は50.3%と、半数を超えた。過去4年間に行われたフェアトレードに関する種々の調査ではいずれも40%台にとどまっていて、50%を超えたのは今回が初めて。 ただし、見聞きしたことがあっても株式や金融に関わる言葉だと誤認している人が半数近くを占め、貧困ないし環境と正確に結びつけることができた人の割合(=認知率)は25.7%だった。
認知度は上昇
2008年11月に同じ設問を使って行われた全国調査(チョコレボ実行委員会実施)では、見聞きしたことがある人が42.2%、認知率が17.6%だったことから、3年半弱の間に見聞きしたことのある割合、認知率ともに8.1ポイント上昇したことになる(認知率の増加割合は32%)という。
見聞きしたことがある割合は、10代後半で64.6%、20代で54.9%に達しており、若年層の間では身近な言葉になっていることがうかがわれる。男女別では男性47.4%に対し、女性53.1%(認知率は男性22.8%、女性28.5%)で、女性への浸透度が高かった。また地域別では、東北・北海道、関東、中部地方で認知度が高く、近畿、中国・四国、九州・沖縄で低い「東高西低」の傾向が見られた。
購入に結びついていない
フェアトレードを正確に知っている人(認知者)のうち、実際にフェアトレード製品を購入したことがある人は35.5%で、必ずしも認知が購入へと結びついていなかった。その理由としては、「どこで売っているのかわからない」(38.2%)、「どれがフェアトレード製品か区別がつかない」(37.6%)、「売っている店が近くにない」(32.0%)を挙げた人が多かった。
購入層は、男女別では女性が3分の2以上(68.4%)を占め、年代的には購買力のある40代(49.1%)、60代(45.1%)が多かった。最も良く買われているフェアトレード製品はコーヒー(63.3%)で、次いでチョコレート(29.6%)、手工芸品(24.5%)、紅茶/ハーブティー(20.4%)の順だった。
消費行動
調査対象者全員に買い物をする際の判断基準を尋ねたところ、価格(72.9㌽)、品質(60.8㌽)、デザイン(31.5㌽)が高く、環境への影響(1.7㌽)や社会への影響(0.3㌽)は非常に低かった。
また、日頃から意識的に購入している製品を全員に尋ねたところ、国産品(44.2%)、健康に良い製品(39.8%)、地元の製品(27.0%)、自然食品/製品(27.0%)、エコ製品(25.3%)などが多い一方、フェアトレード製品(3.4%)や障害者の人が作った製品(3.3%)は少なかった。同法人は、『日本でも倫理的消費の意識が高まっていると言われるが、自分の健康や国産・地産など産地への関心が高く、環境のことはある程度気にかけつつも、他者や社会への影響にはまだ目が向いていないようである』と見ている。