東日本大震災を経て、キラキラのガラスのアクセサリーできらめく未来を自ら作り出す〈HARIO Lampwork Factory Odaka〉

A Picture of $name Misato Momma 2017. 12. 8

「ガラスでできた」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶもの。
それはやはり永遠のプリンセス「シンデレラ」の“ガラスの靴”ではないでしょうか。

今も昔も少なからず乙女心をつかんできた、ガラスのシンボル。
今回ご紹介するのは靴ではありませんが、同じく「ガラス」製で女子のハートを鷲づかみにしているアイテムです。

シンデレラはガラスの靴を“与えられて”ハッピーエンドを迎えましたが、今回ご紹介する工房の女性たちは、“自分たちの手で”、自らのきらめく未来を切り拓いているのです。

耐熱ガラスメーカーの新しい取り組み

実は、この事業は、耐熱ガラスメーカーで知られる「HARIO株式会社」※1)から生まれたアクセサリー工房の一つ。地図を調べてみると、その工房は、都会から離れた場所を中心に点在しています。

なぜ、耐熱ガラスで十分な知名度があるHARIOが新たな分野にチャレンジしたのでしょうか? そしてなぜ、意外な場所に工房を構えることにしたのでしょうか?

さらなる疑問を抱えて、東京・小伝馬町にある総本山・HARIO Lampwork Factory株式会社(以下:LWF)を訪ねてみると、数々のアクセサリーの彩りの中、やはりここでも女性のワーカーさんたちがいきいきと働いていました。

2013年にこのLWFが設立して以来、販路開拓やワーカーさんたちを取りまとめてきた根本新さんは、同社の新しい取り組みについて次のように話します。

ガラス製品も機械化が進みましたが、最初のサンプルは手仕事でないと作れないんです。それは熟練のガラス職人さんに作ってもらっています。この小伝馬町のLWFでは、職人さんの技術を、ワーカーさんに継承しながら商品化し、手仕事の技術を残していく目的も担っているんです。

(左)繊細ながら圧倒的なきらめきを携えるヘアアクセサリーは、「ブライダルで使いたい!」という声が後を絶たないそう。(右)アクセサリーだけでなく、従来の食器なども高度な技術によるオリジナルなデザインで展開。全てが未来への技術継承につながっている。

職人さんからワーカーさんへ、技術の継承

およそ17年前の根本さんの入社当時は、4~5人ほどいたという職人さん。いまでは残るところあと一人になってしまったとか。

抗うことの出来ない高齢化の波に押されつつも、ワーカーさん側のスキルの蓄積も進み、技術継承は着実にされているといいます。

いま働いてくれているワーカーさんは13人。フルタイムというよりは、週に何回といったパートタイムで働く方のほうが多いですね。LWFとは別にご自身の作家としてのお仕事を持たれている方も多いです。嬉しいのは、いまのところ辞めた方がいないことです。

いまは、より多くのワーカーさんに働いてもらえることを目指しているとも根本さんは話します。

ワーカーさんが増えれば、手仕事をできる人のすそ野が広がり、一人でも多くの職人が生まれる可能性が増えます。また、より多くのお客さまに、早く、良いものを提供できるチャンスも広がる。私たちは一企業としてものづくりをしているので、やはり〈オンタイムでお客さまにお届けする〉ということも、技術継承と同じように大切にしています。

→Next:地方も、伝統技術も、女性たちも。ガラスが切り拓くたくさんの未来とは?

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