両足義足で活動するアーティスト・片山真理さん。両足とも脛骨欠損という、主幹を成す太い骨がない病気を持って生まれ、9歳のときに両足を切断しました。以来その独特な身体を介し、自分と自身を取り巻く世界との関わりを作品にし続けている彼女が、初の個展「you're mine」を開催しました。
→インタビュー「両足義足でハイヒールを履くという選択 / アーティスト・片山真理さん」
「普通」の人を吸収する
病気のため、生まれながら足の裏が見えるほどの内反足だったという真理さん。9歳までは補装具をつけて自力で歩いていましたが、9歳で両足を切断します。
ずっと、「普通」ではない身体と「普通」とは違う自分の動きに、他人と自分を見比べる日々。当時を、真理さんは次のように振り返ります。
生まれたときから普通の足がないし、子どものときから人の動きが気になってしかたがなくて、真似ばっかりしてました。すり足でだるそうに歩いているお兄さんから、かつかつ歩いてるお姉さん。がにまたのおじさんも。全部真似して全部できるようになったら、普通の人みたいになれるんじゃないかって思ってたんです。自分が人と違う歩き方をしてるのが嫌でいやで「直さなきゃ」って。だから、他の人がどうやって踏み出して、歩いて、走ってるのかが気になって、すごい観察してました。
「普通ではない」自分の輪郭をなぞる制作活動
いまでも足があったときの感覚を全部覚えていて、ときに足の裏が痒くなったり、足がつって痛かったりするときもあるそう。義足には神経は通っていませんが、自分の足で地面を蹴り上げる感覚もあれば、足の裏にものが当たる感覚もある。足の爪の先の感覚まで思い出すこともできるのだといいます。
ふしぎですよね。自分がそう感じるなら無機物であっても「身体」なのか、生物的な身体だけが「身体」なのか、すごく考えたときがありましたね。自分の輪郭がどこにあるのか、判断のしかたも分からない。
そんな戸惑いを抱え、切断する前の足を再現してみたり、切っていなければどうなっているかを想像した足のある等身大の自分をパッチワークで作ってみたり……オブジェは、自分の身体をなぞって自分を知るために作っているものだったといいます。
セルフ・ポートレートはもともと、そうやって制作したオブジェを見せるために撮り始めたもの。ただ写すだけでは、どんな大きさで感触のものか分からないーーならば、自分がマネキンになって手に持って、いきいきと見せてあげよう。そう思って撮り始めたものでした。
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